近所のおばさんがやって来た。
「先生って、どうして結婚しないんですか?」
 私は答えた。
「いい人がいればするんですけどねー」
「先生のタイプって、どんなです?」
「お金持ちでイケメン」
 おばさんは笑った。
「そんなぜいたくいってると、一生結婚できませんよ」
「大丈夫です。現れない時のために予備を用意してますから」
「予備?」
「ええ、ダンナ候補を何人か作っています」
「作ってる?」
 おばさんは不思議がった。
 私は声を小さくして教えてあげた。
「ここだけの話ですが、何人かのイケメンの細胞をゲットして、クローン人間を作っているんです」
 おばさんは驚いた。
「それって、法に触れるんじゃないですか?」
「ええ、違法です」
「じゃあ、警察に通報します」
「やめてください」
 おばさんは悪人面になった。
「やめてもいいですけど、条件があります」
「どんな?」
 私が聞くと、おばさんは答えた。
「私の愛人も作ってくれたら、黙っていてあげます」